全国土木建築国民健康保健組合と共同で実施した、ポリファーマシー対象者に医療機関・薬局でお薬相談を促す通知をおこなった事業が、厚生労働省主催の第一回“上手な医療かかり方アワード“で優秀賞(医政局長賞)を受賞しました。
https://kakarikata.mhlw.go.jp/
多くのお薬を服薬している人の中には、お薬について不安を感じていたり、できればお薬を減らしたいと思う方が一定数存在することが知られています。
また、複数疾患を抱えている患者は高齢化により多剤併用が継続する可能性が高く、知らず知らずのうちに薬剤が重複したり、飲み合わせが悪い処方がされるリスクが高いことが言われております。
本研究は、できればお薬を減らしたいが、医師に対して自分の意見を言いづらいと思っているような方に、「お薬を相談してもいいんだ」という想いをナッジ(後押し)するようなお薬相談通知を送りました。
通知には、保険者が取得しているレセプト情報から、網羅的(院内処方での内容も含む)に患者様のお薬情報を取得し、お薬手帳のサマリーとして重複・禁忌・相互作用等の飲み合わせ情報も記載致しました。
お薬相談通知により、患者の医療参加を促し、通知を患者から提示された医療者にとっても、患者の希望を把握できると共に、網羅的な服薬情報から適切な医療実施が可能になり、薬物療法の質向上やポリファーマシー対策に有益であるということを期待致しました。
今後の調査では、より精緻に患者の受診行動の変化や、処方内容などについて明らかにしていきたいと思います。
以下、研究概要です。
◯対象
被保険者40−74歳のうち、2018年7〜9月のレセプトで7種類以上服薬しているポリファーマシー患者かつ、何らかの不適切が疑われる処方(重複・禁忌・相互作用)に該当した5,044名。2019年3月末に発送。
◯介入及び比較
介入は2019年3月末に発送し介入時期4月を起点として、前後3ヶ月間の処方変化を前年同時期と比較
(プレ1−3月、ポスト4−6月の処方トレンドの前年度比較)
◯結果
内服薬数 △0.34剤/人減少(NNT:8.7人)
不適切が疑われる処方
・全体△2.0%
・重複△0.1%
・併用禁忌△0.1%
・相互作用△2.0%
齋藤良行