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RESEARCH: 大動脈解離リスクスコアの系統的レビューがAnnals of Emergency Medicineでfeatured articleとして取り上げられました

2020/05/17 お知らせ 研究実績

当研究室では、様々な研究手法を用いて、各領域の臨床疫学研究をサポートしています。

今回、European Heart Journal: Acute Cardiovascular Careに発表した大動脈解離リスクスコア(Aortic Dissection Detection Risk Score:ADD-RS)の系統的レビューが、救急医学のトップジャーナルであるAnnals of Emergency Medicineでfeatured articleとして取り上げられました。 

救急診療の臨床上、ADD-RSは急性大動脈解離のスクリーニングツールとして、用いられています。この系統的レビューによって、事前確率に応じて見逃し率が大きく違うことが明らかになり、臨床医が目の前の患者さんの現実的な可能性に応じてADD-RSを用いることの重要性が示されました。

Tsutsumi Y, Tsujimoto Y, Takahashi S, Tsuchiya A, Fukuma S*, Yamamoto Y, Fukuhara S. Accuracy of aortic dissection detection risk score alone or with D-dimer: A systematic review and meta-analysis. Eur Heart J Acute Cardiovasc Care. 2020 *corresponding author

Gottlieb M, Manchanda S, Patel KA. What Is the Accuracy of the Aortic Dissection Detection Risk Score? Ann Emerg Med 2020

大動脈解離は非常に重篤な心血管系の急性疾患ですが、確定診断にはCTなどの画像検査を要します。この疾患を症状や既往歴などでスクリーニングするために、2010年にAmerican Heart Associationなどのいくつかの学会が共同でADD-RSを作成しました。今回我々が行ったのは、そのADD-RSの診断精度を検証した系統的レビューとなります。メタアナリシスの結果、ADD-RSは、事前確率が低い集団においては単独使用してもRule-out testとして許容される精度を持つものの、事前確率が高い集団においてはD-ダイマーと組み合わせて使用することが望ましいことが明らかになりました。

Annals of Emergency Medicineのコーナーでは、要約した内容をコメントと共にご紹介いただいています。今後も、実際の臨床に直結した現場に役立つ研究を進めていきたいと考えています。

堤 悠介

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