当研究室ではデータから健康課題を明らかにして、改善のための介入を実装する仕組みとしてLearning Health Systemのモデル構築を進めています。
本レビュー論文は、高齢者の生活するコミュニティにおいて、生活状況をリアルタイムに捕捉するIoT(ビーコン)を技術受容とコミュニケーションデザインの観点から実装し健康関連データと統合するプラットフォームについて紹介しています。本研究では、保険者データベース等の少項目少時点大規模サンプルデータではなく、フィールドで得られる多項目多時点小規模サンプルデータを臨床疫学研究に応用しています。
Yamada Y, Uchida T, Shiose T, Ikenoue T, Kusunoki M, Kuwata C, Tatsumi A, Fukuma S. Learning Health System in a Senior Retirement Community: A Platform to Promote Implementation Research. J Gerontol Geriatr Med. 2020 (in press)
67歳から97歳までの111名の高齢者が参加し、90%以上が生活状況のモニターを継続し、移動範囲・距離や交流範囲などから、高齢者の健康維持に必要なエビデンスを構築しています。
高齢者コミュニティにおけるLearning Health Systemのコンセプト
Data to Knowledge: 生活から得られたデータで高齢者の健康課題を知る
Knowledge to Performance: 健康課題の改善をナッジする
Performance to Data: 行動変容を記録し、介入改善や次の課題発見につなげる
Learning community: 高齢者、生活支援者でデータを軸に健康を支えるコミュニティを設計
コミュニケーションデザインと技術受容による実装
京都芸大 辰巳教授のグループ、京大博物館 塩瀬准教授と共同で、高齢者コミュニティに実装可能なIoTプラットフォームを設計しています。
コンセプトのビジュアル化(a)、ビーコン端末の利用場面を設計(b)、ロゴイメージの浸透(c)、参加者とのコミュニケーションツール(d)など、工夫を行っています。
他にも、現地では、美術・IT・健康ワークショップなどを行っています。