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RESEARCH: 特定保健指導・受診勧奨の受療実態と予測因子について(博士課程:森雄一郎)

2023/06/08 お知らせ

Patterns and predictors of adherence to follow-up health guidance invitations in a general health check-up program in Japan: A cohort study with an employer-sponsored insurer database

Yuichiro Mori, Kunihiro Matsushita, Kosuke Inoue, Shingo Fukuma

PLoS ONE 18(5): e0286317.

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0286317

日本で広く行われている特定健診(通称”メタボ健診”)は、健康診断に加え、健康診断でメタボリックシンドロームの高リスクと判定された方に対する特定保健指導や医療機関の受診勧奨という追加介入を組み合わせた保険事業です。過去の報告で、せっかく特定健診を受診した方の中でも、その後の追加介入への参加率が低いことが分かっていました。また、当研究室の過去の検討でも、特定健診事業の有効性を弱めている可能性のひとつとして、この追加介入への参加率の低さの関連が指摘されていました(Fukuma, et al., JAMA Int. Med, 2020)。しかし、この健康診断に続く追加介入への参加率がどのような因子に影響を受けるのかは、これまで検討されていませんでした。

そこで我々は、全国土木建築国民健康保険組合のデータベースを利用し、健康診断後の追加介入(特定保健指導・受診勧奨)への参加実態と、その予測因子を検討しました。京都大学医学部社会疫学教室、Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health、との共同研究です。研究では、2017年度の特定健診対象者186,316名を対象に、健康診断の受診状況、健診結果や、その後の特定保健指導への参加、医療機関の受診行動を解析しました。

結果、特定健診の受診率が71.7% (133,573名/186,316名)にのぼった一方で、追加介入への参加率は35.2% (10,614名/30,194名)に留まっていました。追加介入への参加を予測する因子としては、高年齢、高リスクの健診結果、健康意識(健診の問診表に基づく)などが挙げられました。補足点として、追加介入の対象者のなかでも、とくに高リスクの健診結果であった者には重点的な介入(特別にデザインされた手紙の送付や、雇用主を通じた受診勧奨)がなされていました。

この結果から、適切な対象者に対し、適切な方法で健康リスクを伝えたり受診を促したりすることで、健康診断に続く追加介入への参加率を上げられる余地があること、一方で、若年者や、健康意識が高まっていない層への啓発に課題が残ることが示唆されました。特定健診は非常に意義の大きい保険事業ですが、一方で改善の余地が大きく残されており、本研究はその一助となるものと考えます。

本研究は、厚生労働省の予防・健康づくり大規模事業(採択事業者:全国土木建築国民健康保険組合、京都大学が共同研究機関として参画)の一環かつ、筆頭著者(森雄一郎)のJohns Hopkins Bloomberg School of Public Health MPH課程在籍中の卒業研究(Capstone project)として着想し、論文化に至りました。ご指導・ご協力いただきました関係者の皆様に御礼申し上げます。

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