数多く開発されてきた糖尿病予測モデルが、どの程度、医療現場での効果検証(インパクトスタディ)やヘルスシステム実装に至っているかどうかを検討した結果を発表しました。京都大学学部生の時に岸晃生君(現在、天理よろず総合病院)が取り組んだ研究成果です。
Implementation status of prediction models for type 2 diabetes
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1751991823001614?dgcid=author
予測モデル開発研究と該当論文を引用した予測モデル論文をレビューし、以下のフェーズに分類しました。
Phase 1 | 探索フェーズ | バリデーション研究、モデル改良研究 |
Phase 2 | 準備フェーズ | 実施可能性研究、実験プロトコル |
Phase 3 | 実験フェーズ | インパクト研究 |
Phase 4 | 実装フェーズ | 実装研究 |
モデル単位で集計すると、27モデル中20モデル(74.0%)が、表の研究タイプのいずれかに引用されていました。27モデルのうち、フェーズ1に進んだのは8モデル(29.6%)、フェーズ2に進んだのは3モデル(11.1%)、フェーズ3に進んだのは6モデル(22.2%)、フェーズ4に進んだのは3モデル(11.1%)でした。
予測モデル研究の数は年々増加していますが、モデルの実装に関する課題は未解決のままであると考えられます。研究者はモデル開発時にモデル実装フェーズを計画すること、既に多くの予測モデルが発表されていることを考慮し、既存のモデルの効果的な活用を検討すべきではないかと考えられました。