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Research Findings ナッジ(行動経済)を活用した受診勧奨介入:pragmatic trial

2019/08/17 NCD重症化予防プロジェクト お知らせ

Nudging patients with chronic kidney disease at screening to visit physicians: a protocol of a pragmatic randomized controlled trial

Shingo Fukuma, Tatsuyoshi Ikenoue, Shusaku Sasaki, Yusuke Saigusa, Toshihiro Misumi, Yoshiyuki Saito, Yukari Yamada, Rei Goto, Masataka Taguri

Contemporary Clinical Trials Communications, August 2019 (in press)

https://doi.org/10.1016/j.conctc.2019.100429

慢性腎臓病(CKD)には、健診で異常を指摘されているにも関わらず未治療の患者が多く存在することが指摘されています。

当研究室では、全国土木建築国民健康保険組合との共同研究事業として、健診で指摘されたCKD患者に対して行動経済のナッジ理論を応用した通知介入により受診勧奨するpragmatic trialを実施しています。本論文は、研究プロトコルを説明しています。

2019年7月で約4000名の慢性腎臓病患者を研究対象者として登録し、通知介入を実施しました。今後、ヘルスシステムに蓄積されるデータを活用して効率的にアウトカム評価(受診行動、腎機能変化)を行う予定です。

本研究は、ナッジ型介入の設計において経済学の佐々木先生(京大)、後藤先生(慶応大)と連携し、割付・介入評価において、横浜市大データサイエンスの田栗先生、三角先生、三枝先生と連携しています。

また、通知介入の実施においてキャンサースキャン株式会社と連携しています。

【疫学コメント】

「疫学では介入を行わない」と揶揄されることもあります。

 

しかし、ヘルスシステムに蓄積される大規模ヘルスデータの活用によって、新たに効率的な介入研究の可能性が生まれています。

NEJMの総説でもRCT in health systemが紹介されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28877014

本研究では、既存のヘルスシステムデータを活用することで、対象者選択、アウトカム評価を効率化しました。また、通知介入という介入手段を選択することで介入コストを出来るだけ低下させています。

大規模ヘルスデータを活用した新たな疫学研究の一つとして、RCT in Health Systemのモデルを提示したいと思います。

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