Undiagnosed and untreated chronic kidney disease and its impact on renal outcomes in the Japanese middle-aged general population
Yukari Yamada, Tatsuyoshi Ikenoue, Yoshiyuki Saito, Shingo Fukuma
Journal of Epidemiology & Community Health (in press)
https://jech.bmj.com/content/early/2019/09/28/jech-2019-212858.full
全国土木建築国民健康保険組合との共同研究事業の一環として、特定健診で慢性腎臓病(CKD)を指摘されたにも関わらず、医療機関を受診しない人はどのくらいいるのか、さらには受診した人としない人でその後の腎機能障害の進行はどう異なるかを検証しました。
2014年度に特定健診を受診した7万人あまりのうちCKDと判断された方はおよそ6%いました。そのほとんどの方は、健診時点ではCKDの治療を受けてなく(undiagnosed)、さらに健診後半年間も受診をしていません(untreated)でした。
健診で新たにCKDを指摘された人は、健診後6か月で2%、健診後12か月で3%しか医療機関を受診していませんでした。
労働者にとって健診で異常が指摘されても受診しないという行動には、日々の忙しさや平日の受診のしやすさといった働く環境が影響することが容易に考えられます。そこで、健診後半年間にCKD治療を受けた人とそうでない人のその後3年間の腎臓病進行リスクを事業所の規模を操作変数として比較したところ、事業所規模が受診行動に影響する集団においては、健診後の未受診は腎臓病進行リスクと関連していることがわかりました。
本研究論文は、特定健診によって発見される検査結果の異常を医療機関の受診行動に結びつけることの重要性を支持しています。本研究室では、こうした受診行動の促進するためのナッジ(行動経済)の効果を検証するpragmatic trialを実施中です。