当研究室では、大規模ヘルスデータから潜在的な健康課題を可視化する取り組みを進めています。
高齢化、高血圧・糖尿病等の併存症の増加によって、潜在的な慢性腎臓病(CKD)患者が増加していることが推定されます。一方で、適切なCKDの診断や治療を受けている集団は、その極一部であることが分かってきました。我々の分析(J Epidemiol Community Health 2019;73:1122-1127)では、一般集団から新規に検出されるCKD患者は健診受診者の約5%存在しますが、その中で翌年1年間にCKD診療を受けたのは2%に過ぎませんでした。本研究では、未診断を含めたCKD患者を大規模ヘルスデータから把握し、適切な医療介入が行われていないunmet needをとらえることで、今後、介入が必要とされるCKD集団の規模や特性などを明らかにすることが可能となります。